「働くということ」を切り口に様々な世代の対話を試みるイベントが、仙台市で開かれている。主催者らは「就職活動中の学生や新社会人にとっても、何かヒントになるのではないか」と話す。
「東北に旅行に来たお客さんに喜んでもらえたことが一番うれしかった」。「外国人だからといって、甘く見てもらえるわけではない。求められる結果は同じです」
同市青葉区のエル・パーク仙台で18日に開かれたトークイベント「Works×Talks」。中国・内モンゴル自治区出身の蘇日那さん(29)がゲストに招かれ、「外国で働くということ」について語った。2003年に留学生として来日し、昨春から市内の旅行会社で働いている。
このイベントを企画しているのは、同市の国際交流団体職員の菊池哲佳さん(36)と堀野正浩さん(35)。昨年10月に始め、今回で3回目だ。
転職経験があり、働くということについて迷いも多かったという2人。非正規雇用の増加など仕事を取り巻く環境が急速に変化している今、「どのように働いて生きていくか」を様々な視点から考えたいと思い立った。
イベントでは、ゲストの「自分史」を聞いた後で、参加者と意見交換する。これまでは「金か仕事のやりがいか」「NPOは道楽か」などを取り上げてきた。
今回のテーマは「開国か鎖国か」。日本は外国の人材をもっと受け入れるべきかどうかを話し合った。学生や社会人など幅広い年齢層の参加者15人からは「日本人の雇用がなくなる懸念もある」「すでに多くの外国人が働いている。一緒に日本社会を良くしていくことを考えたい」などと様々な意見が出た。
東北大4年の鹿沼穂波さん(21)は、春から新社会人という。「色々な立場の人から意見が聞けて楽しい。私も早く目標を決めて、熱中して働きたいと思った」と話した。
「働くやりがいや難しさなどを様々な世代がお互いに学び合える場にしたい」という菊池さん。今後はゲストにフリーカメラマンを呼んだり、「職場の男女差」をテーマにしたりするという。不定期の開催で、次回は4月に開く予定。詳しくはウェブサイト(http://worksxtalks.jimdo.com)で。
(安仁周)
あなたにとって仕事とは、働くとは何ですか? 仙台市で働く30代の男性2人が「仕事」をテーマにした対談イベントを展開している。就職難や非正規労働者の増加など、雇用環境が厳しさを増す中、働く人を招いて考えを聞き、「どう働き、どう生きるか」のヒントを得るのが狙いという。
2人は仙台市青葉区の団体職員、堀野正浩さん(35)と同じく菊池哲佳さん(36)。「Works×Talks Project」と2人は名乗り、仙台市内でトークイベント「Works×Talks シゴトについて考える」をこれまで2回開いた。
1回目は5~6回転職した経験のある堀野さんが菊池さんと対談。「金かやりがいか」をめぐって職歴を振り返った。2回目はNPO法人で働く30代の女性を招き「(自分の興味・趣味をそのまま仕事にして)NPOで働くのは道楽か」をテーマに、堀野さんと話し合った。
内容は、サクセスストーリーではなく、仕事の悩みや不満も交えた「等身大の自分語り」を大事にしている。「普段のつらさを飲み会の愚痴にするだけでなく、公的な場で話せば、共有できるものがあると思う」と菊池さん。堀野さんは「ゲストの話を参加者とともに考えることで、さまざまな価値観や考え方に触れられる」と話す。
堀野さんは、外資系金融や国際協力機関、日雇いのアルバイトなど、さまざまな仕事を経験したが、ずっと「国際協力・交流」の実現できる職場を選び続けてきたという。一方、菊池さんは社会へ出る自覚のないまま大学を卒業。最初に勤めた企業を数年で辞めるなど、働くことに迷い続けてきた。
30代になって結婚し、仕事観が変わったという2人。人生を顧みて、今後どう生きるかを考える場として、トークイベントを思いついたという。
過去2回のイベントには、20~60代の計約40人が参加した。顔ぶれは、就職活動を終えた学生、会社の経営者、求職者らさまざま。参加者からは「金かやりがいか、選べるだけでもぜいたく」など、厳しい意見も出た。
イベントでは毎回、ゲストの人生の話に焦点を当てつつ、「転職」「男女の雇用の差」など、社会の課題を見据えていくことも忘れない。「終身雇用の前提が崩れつつあり、私たちは60歳になれば引退できるのかどうか分からない。こんな社会だからこそ、いろいろ考えたい」と菊池さん。
次回のイベント開催日は未定だが、2カ月に1度のペースで開く。ゲストには、国内で働く外国人、フリーのカメラマンらを予定。
2人は「幅広い年代に参加してほしい。特に就職前の学生にとっては、会社説明会では聞けない本音も聞ける。広い視野を持って、さまざまな職業があることを知ってほしい」と話している。
連絡先はメールで worksxtalks@gmail.com
(生活文化部・矢嶋哲也)